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(c)安野 光雅
  みどころ

旅をしていると「こんな風景よく見かけたよね」「こういうのよく食べたよね」「こんな話最近聞かないね」などなど時の流れの中でいつのまにか見えなくなったもの、聞かなくなったものに、巡り逢うことがたまにあり、それが「懐かしい」という感想になるような気がします。

今回の旅先は東京のお隣埼玉県の川越をはじめとする通勤圏の町ですが、時の流れの中で忘れ去られようとしているものやそれを守り続けていこうとしている人たちに会うことが出来ました。場所こそ東京の圏内ですが、東京に限らず「日本の都会のそばにきっと見つかる」のではないかという物との出会いでしたが、皆さんのお住まいの町のそばにもきっと見つかると思います。


 
         
 


川越むかし工房

小江戸ともよばれる川越は徳川家ゆかりの町として栄えた町で、特に蔵造りの家並みが見事です。

この家並みに魅せられて東京から川越に移り住んだという藤井美登利さんが主宰する工房が発行する川越を紹介する小冊子では、藤井さんが足で見つけたとっておきの川越を知ることが出来ます。

「川越のどんな所が好きなんですか」という問いに「蔵の見事さもありますが、東京の忘れ物が見つかる町、そんなところなんです」という藤井さんの言葉が今回の旅のキーワードになりました。

 


藤井さんは元国際線の乗務員、外国に較べると日本は古い物を余り大事にしないということが気になるとおっしゃっていました。


川越の蔵はそこにお店があるというのが、この町の人々の知恵だそうです。その訳は…


 
 


組飴

川越の名所の一つ「菓子屋横丁」、その名の通り昔懐かしい駄菓子やさんがずらりと並びます。

その中の一軒「手間はかかるけれど、これは続けていないと無くなってしまうからね」と家族で昔からの製法で、いうところの金太郎飴を作っている玉力製菓さん。切っても切っても同じ模様が出てくる飴の製法って気になりますよね。親子の呼吸もぴったりの仕事場は、昔はよく見かけた光景のような気がしました。

 



朝顔や蜜柑の模様が次々と出来あがります。

 
         
 
木遣

祝い歌だったり仕事歌の木遣です。最近では木遣をきちんと歌えるのは限られた人だったり、愛好家だったりしますが、川越の木遣はその歌を歌って仕事をする鳶職の組合の人々が歌い続けているところが一味違います。  

現在72人の職人さんが月に3回の稽古を続けている所へ伺いました。勿論全員が集まれることはなく、この日は出席率の良い人(上手い人?)が集められたとの事でした。築地の職人さんの集まりなどのしきたりを知っている平野さんは、鳶の職人さんの集まりと聞いて、かなり緊張していましたが、さすが魚河岸三代目の女将さん、いつの間にか解け込んですっかり愉しんでいました。

 
口伝ですから覚えるのが大変なのですが、最近は若い人も増えたので、安心と仕切り役の松本さんが仰っていました。

 
         
 
カヌー工房


文字通りカヌーを作る工房です。場所は名栗村、名栗湖という人造湖があってハイキングコースになってもいます。

この辺りの山で採れる杉やヒノキは江戸時代、西川材といわれた良質の建材として荒川を下って江戸へ供給されていたそうです。江戸の西から川を下ってくる材木なので西・川・材。 その西川材を使ってカヌーの工房を始めたのが旭川からやって来た山田さん。

4メートル節なしというこの材を使って希望者にカヌー造りを教えています。週一回の作業を続けて半年かかるそうですが、希望者が多く、現在80艇が製作中、へぇ〜こうやって作るのか…であります。

  「こんなに良い材木があるなんて、大切に守りたい山です」という山田さんの工房の製作中のカヌーです。

 
         
 
飯能焼

埼玉県飯能に明治時代初めまであった民窯です。幻の古飯能焼といわれていたのを「150年の美濃焼窯元の次男坊」という虎澤英雄さんが100年振りに甦らせました。いっちん描きという白土を溶かしたもので一気に線で描き上げるという、現代にも通じる模様がとても面白いと、虎澤さん。

単なる復元だけではなく、これから生き残るためにも新しい試みをこのいっちん描きを使ってやっていきたいという虎澤さんの手でこれからも飯能焼は飯能焼であり続けることでしょう。

 
梅の花をこんな風に描いていたモダンさに感服です。
 
         
 
手漉き和紙

関東で有名な手漉き和紙の産地といえば川越の先小川町。1300年の歴史があるという和紙作り、20年前には20軒の工房があったそうですが、今は8軒。

ここ小川町で採れる楮に拘って和紙を漉くのはアメリカはボストンからやって来た版画家のリチャード・フレイビンさん。木版画に使っていた和紙のよさをもっと知りたくて20年前に小川町へやってきて職人さんから手ほどきを受けて、この町に住みました。

今では、和紙の良さをもっと知ってもらおうと、和綴じの本,ランプシェード、便箋などの工芸品も作っています。そして地元の音楽家と一緒にこんな物まで作ってしまいました。で、それが何であるかは、例によって放送でどうぞ。

 
自分で栽培した楮を手にフレイビンさんと。小川町の楮は密度があるので版画に特に良いそうです。


 
         
 
手打ちうどん

前回のはなさんの岩手でも小麦の話題がありましたが、今回も小麦、それもうどんのお話です。(ちなみに次回も小麦の話題があります。これまた不思議なものです)  
埼玉県というのは昔から小麦の産地で、それもうどんへの拘りは半端じゃないようです。 冠婚葬祭の〆はともかく、うどんなんだそうで、うどんが出ると盛り上がって何時果てるかという宴会もお開きとなるそうです。この話をしていたら、秩父の人から「埼玉のうどん好き知らないの・・」という怪訝な顔されました。(遠くへ行きたいのスタッフがねぇ〜ということでしょうか)

 
こんな小麦畑の風景があちこちにありました。


お汁につけずそのまま食べてもおいしいうどんです。
 


 東京近郊の旅でしたが日本の何処にでもあるような風景やその物に拘る人々との出会いがありました。最初にも書きましたが、かつてはあちこちで見かけたり、聞いたり、手にしたりした物との出会いで、それらは時の流れの中で忘れ去られたものや、町の変化のなかで忘れられてしまったものを気付かせてくれたような気がしました。みなさんもそんなこんなの忘れ物探しの旅をしてみませんか?
 
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