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(c)安野 光雅
 

みどころ

下條アトムさん、秋の京都へ。
「遠くへ行きたい」では、ここ数年、紅葉のシーズンの頃に京都へ旅をすることが多いのですが、その場合スタッフとして骨を折るのがロケ中の宿泊ホテル探しです。この時期は市内のホテルはどこも予約でいっぱい!中には、前年に宿泊した際、翌年分の予約を入れる方も多いのだとか。つまり、何度行っても秋の京都は良いのです。


▲アトムさんにとって京都は
  「遠くへ行きたい」では初めての旅


今回の旅のテーマは伝統の職人技。最近では日本各地の職人さんにお話を伺うと、残念ながら「この技はこの職人さんで最後」ということがままありますが、京都はさすがに違いました。今回は先祖代々素晴らしい技を受け継いできた方々のお話の中で、特に心残った言葉をいくつかご紹介します。


 
         
 

京繍

1200年の歴史を誇る京繍・京刺繍の第一人者、
長艸(ながくさ)敏明さん、純恵ご夫妻のお話

「糸というのは立体なので、糸の影というんかな、
それを大事にしたい」
「いつもその影の部分を気にしながら刺繍を、
模様を描き出すのが我々の仕事かなと思いますね」


糸を縒る、つまり糸を作るところから長艸さんの仕事が始まります。仕上げる作品によって糸の太さも変え、ぼかしを入れたり厚みをだしたり。糸の性質を知り尽くして、様々な表情が描き出されます

 


長艸敏明さんと。後ろは「洛中洛外図」の刺繍

 
         
 

釜師

江戸時代初めに茶釜を作り始めて以来、茶釜一筋というお家柄の大西清右衛門さんの工房にて。十六代目大西清右衛門さんのお話

「先人によって完成されたものが大変多くありますから、
それを追いかける、もしくは
なんとか少しでも抜けないかな、という物作りですね」
「残すという事も、後生に伝える一つのことだと思うし、
そしてそこからまた自分自身で
新しい物を作りあげるということも、
やはり両立していくように考えています」


中京区の三条釜座(かまんざ)というところには、かつて茶道の茶釜を作る工房が80軒もあったそうですが、今は大西さんを含め2軒になりました。400年の伝統を正統に受け継ぎながら、新しい世界にもチャレンジしていく大西さんです。

 
大西清右衛門さんと

 
         
 

経師

経師とは、もともと写経を職業とする職人のこと。その後、巻物だった経典を本に作ることもするようになり、江戸時代には刷りも手がけるようになる。現在では和本などの製本、修復、保存、複製などが主な仕事。大入達男さんの工房にて。職人、伏見 大さんのお話。

虫食いの穴にあてる、小指の先ほどの和紙のふちをナイフで薄くそぎながら

「本紙と重ねる部分がどうしても厚みがでますので、
紙の厚さを半分ぐらいにそいでいます」


職人さんの世界には「えっ、こんな仕事があるのか・・」と驚いてしまうものもよくあるのですが、この和本の修理というのも想像を絶する緻密な作業です。「裏紙をあてる」「虫食いの部分にだけ紙をはめ込む」などのいろんな技を、虫があけた小さな穴にほどこします。

 
息をつめての作業

文化財が丁寧に補修される
 
         
 



やっぱり京都は秋どすなぁ。ねぇ、下條さん!

 


 
         
 

京人形

京人形師 十四代目面屋庄甫さんのお話

「人形を作っているときは本当に素直な気持ちになり、
人形が私を育ててくれた」
「京人形の良さというのは、見えないとこまでも、
きちっと仕事をしているという事が
やっぱり気持ちなんやね、作り手の」


人形の始まりというのは、もともと人の「身代わり」の意味があったといわれますが、それが転じて、京人形には自分以外の子供や人に対する愛情が込められていると話す面屋さん。
拝見した人形は、それを包み込む空気までも優しくしていました。

 


 
         
 

黒紋付

草木染めと化学染料染めの技法を併せて、極限の「黒」を開発した「京都紋付」大橋裕史さんのお話

「天然の中には、黒っていう成分がないんです」
「黒紋付というのはね、
ものすごく大勢の人でなりたっているんです」


取材中に上絵の仕上げをしている職人さんが「黒染業界で45年」とおっしゃっていました。至るところで出会う方々が、それぞれに素晴らしい技をお持ちなのです。

 
京都には黒染専門の伝統工芸士の資格をもつ職人さんが70人いるそう

黒い反物にシャキッと浮き出る紋。仕上げはすべて手作業で
 
         
  すっぽん料理

創業は江戸半ば、330年続く、すっぽん料理屋「大市(だいち)」十七代堀井六夫さんのお話

「(すっぽんは)若返りみたいな感じの食べ物です。
僕毎日頂いているのですけど、
真っ白の髪が最近黒くなってきたんですよ。
皆に若返ってきたっていわれて」
「お鍋が一番大事なんです。うちの宝なんですね。
100万といわれても、売りたくないですわね」


堀井さんのお店では、お客さんが会話に熱中して鍋の中身がさめてしまうと、何も言わずとも店の奥から新しい鍋が運ばれてきます。味ばかりでなく、もてなしにも心を砕く。
すっぽん一筋、「大一」のこだわりです。
 
堀井六夫さんと

旅の仕上げは京都名産のすっぽん料理
 
         

京都というところは、何度訪れても発見がつきないまちである。
深いのである。 歴史も、人も、 その技も。
「いやはや、参りました」と秋風に吹かれながら、アトムさんの旅の終わりです。


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