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(c)安野 光雅
 

みどころ

今回は久しぶりの登場となる宮崎美子さんの、福岡県の旅。
江戸時代に外国との唯一の接点だった長崎と、豊前(ぶぜん)の国の城下町・小倉を結んでいた「長崎街道」の周辺で、様々な「手仕事」を訪ねて歩く旅です。
出島が近かったことの名残なのでしょうか、北九州って本当にいろいろなものがあって、「文化のるつぼ」という言葉がピッタリですね。今回も畑仕事あり、宿場町に城下町あり、異国情緒漂う港町あり、現代アートありと盛りだくさんで、一言でくくるのが非常に難しい、つまりは贅沢な旅です!


▲出発はJR鹿児島本線と
筑豊本線が交差する折尾の駅です


 
         
 

折尾駅の駅弁

「べんとー!かしわー!」JR鹿児島本線の折尾駅ホームに下りると、駅弁売り・山口さんの独特の掛け声が響きます。ある世代の方には“昔懐かしい”という形容詞が付くのでしょうが、私(AD30代)などそもそも駅弁売りのいる駅など見たことがなく、まるで昭和30年代へタイムスリップしたかのよう!赤のジャケットに蝶ネクタイという出で立ちがまた、何とも昭和のにおいを感じさせます。
しかも折尾駅は鹿児島本線と筑豊本線が交差し、特急停車駅でもあるという往来の激しい駅で、10分と電車の来ない時間がないのです。そんなホームでお弁当を求めるお客さんを探して、山口さんは歩く歩く!その距離一日2万歩!停車時間のほとんどない乗り換え駅でお弁当を売るって、考えてみれば大変なことですよね。
そんな山口さんがなんと自ら作ってしまったのが「かしわめしの数え唄」、自慢の喉を聞かせてくださいました。放送でぜひ聞いてみてください!

 


この笑顔で、ついつい買ってしまうのです!肩から下げた弁当の箱は、重さ12kgもあります

 
         
 

農業収穫のお手伝い

山口さんの掛け声に送られて筑豊本線に乗り、直方市へ。
自然農法で無農薬野菜を作っている、末永眞幸さんの農場のお手伝いです。
末永農園ではちょうど稲刈りが終わったところで、宮崎さんは里芋の収穫に参加させていただきました。
元来の手仕事好きの末永さんは、農機具から建物や家具まで、廃品や不用品を利用して何でもご自分で作ってしまうのです。という訳で、収穫した里芋を洗うイモ車も末永さんの手作り。意外なところに、意外なモノが使われています…

 
自然農法なので畑には雑草や虫がいっぱいでした。収量は農薬を使った場合の約5〜7割なのだとか

水量が豊富なので、中のイモはつるつるに皮がむけます

 
         
 

自然食工房あすなろ

実は末永さんは奥さまと2人で、とれた野菜を料理して食べさせてくれるレストランも経営しています。(その建物や家具も、もちろん末永さんの手によるもの!)
自然農法にこだわるとどうしても収穫量が落ちてしまうため、レストランを営むことで補おうと始められたのだそうですが、奥さまの作る手料理は一品一品が本当に丁寧で、とれたて野菜の素朴な味をじっくり楽しめるレストランになっています。「野菜そのものにしっかり味があるから、調味料で手を加えないようにしている」というのが奥さまのポリシーです。

 
「あすなろランチ」、このボリュームで1000円!

 
         
 

木屋瀬宿(こやのせじゅく)

直方から筑豊電鉄に乗り、小倉から数えて長崎街道2つ目の宿場町だった木屋瀬宿へ到着です。
街道筋には昔ながらの町屋や商家の建物が点々と残っています。こういった街道沿いの宿場跡は大概きれいに整備されて土産物屋や記念館が並んでいるものですが、驚いたことにこの木屋瀬ではその大半が、今でも住民の方々が暮らしていらっしゃる“現役”なのです。決して賑やかではありませんが、ひっそりとした佇まいの中に、この町並みが大切に引き継がれて来たことを感じさせます。

 


2両編成で車掌さんのいる、レトロな電車です


 
         
 

ギャラリーカフェ・ピアスペースのーてぃす

そんな街道沿いに、明治39年築という民家を借りて経営されているギャラリーカフェがありました。オーナーの神保明美さんは小倉出身だそうですが、10年前に木屋瀬を訪れた時からここが気に入り、何度も通いつめたといいます。そうこうするうちに地元の方とも親しくなり、この家を使って何かやってみれば、という誘いを受けて3年前にこのカフェをオープンさせました。大家さんのおばあさんはいろいろな郷土料理を教えて下さるそうで、それを若いスタッフたちが学び、メニューにも取り入れているそうです。
建物には出来るだけ手を加えずそのままにしたかった、という神保さんですが、中はシンプルながらとてもおしゃれな雰囲気。陶器の常設展示のほか様々な個展も開かれ、コーヒーを飲んでくつろぎながら、気に入った作品を手にとってみるという、ゆったりとした時間を過せます。古い宿場町の中から新しいモノが生まれる場所を訪ねる、今回の旅の目的を象徴するようなお店でした。

 


ちょうど100年前に建てられた町屋造りの建物です

神保さんとコーヒーを飲みながら語らいます

オーガニックのコーヒーと羅漢果クッキーをいただきました

 
         
 

フェルト作り

神保さんのお店の中で、格子窓の前に吊り下げられたフシギな布を発見した宮崎さん。
何やら透けていて、その中に別の素材が編み込まれているようでもあり、「これは何???」
実はこれ、ちょうどここで個展を開いていた布のクリエイター、なかざとゆりえさんの作品。縮絨(しゅくじゅう)という、羊毛を使って作る、一種のフェルトのようなもの。という訳で、なかざとさんにフェルト(のような布)作りを教わります。

 
展示された布に興味津々の宮崎さんです

これが材料の羊毛です
 
         
  若戸渡船

北九州市に入りました。
洞海湾を戸畑から若松へ渡る、若松渡船で3分間の船旅を楽しみます。
この渡船は江戸時代から市民の足だったそうですが、驚いたことに今は若戸大橋という立派な橋が架かっており、その下を通るのです!橋を渡った方が早いのでは…などと思ってしまいますが、通勤定期、通学定期、自転車定期などというものまであり、いかにこの船が今でも市民に利用されているかがわかります。
渡った先の若松南海岸通りは、大正時代のモダン建築が並ぶちょっとレトロな雰囲気。
宿場町・木屋瀬とは違った風情を楽しみます。
 


若戸渡船です

船内で自転車通学の高校性と出会いました

若松海岸南通り、背後に若戸大橋が見えます。左側の旧古河鉱業若松ビルは大正8年(1919)建築。

 
         
  常盤橋

さて、いよいよ城下町・小倉までやって来ました。
小倉城の外堀の役割を果たす紫川に架かかっているのが、常盤橋。ここが長崎街道の起点となった場所で、東海道でいえば日本橋に当たり、出島のある長崎から入ってきた外国の物は、皆この常盤橋を渡って江戸へ向かったのだそうです。
橋の袂にある「茶店ときわばし」では、象のマークが焼きこまれた「白象くん饅頭」が売られていました。しかし何故象なのか?常盤橋の歴史に詳しい茶店の古賀えみ子さんにお話しを伺います。
 
常盤橋です。一時期石の橋だったそうですが、平成7年に昔ながらの木の橋に架け替えられました

白象くん饅頭です。象マークが見えますね
 
         
  人形作家・中島司了さん

さて福岡県には毎年秋に「福岡アートウォーク」というギャラリーや個展を巡るイベントがあり、専用ガイドブックには123ものポイントが紹介されています。そんな中、小倉南区の酒蔵「無法松酒造」さんで開かれている、人形作家・中島司了(つかさ)さんの個展を訪ねます。中島さんの人形は紙粘土をベースにしたものが多く、似顔人形とか人間観察人形と呼ばれているのだそうです。
 
酒樽が展示に利用されています!

 
         
  …という訳で、中島さんの自宅兼アトリエにお邪魔して、人形作りを教わります。
部屋の中には所狭しと作品が並んでいるのですが、どれも特徴や個性を実によく捉えていて、服装や表情を見ると、職業や性格まで想像できてしまうのです。中島さんは町に出て道行く人を観察するのが大好きで、かつては電車の中でスケッチをしたりしていたそうです。
そんな中島さんに、人物の特徴を捉える極意を…教えていただけるでしょうか?
 
まるで交差点に立っているようですね
「あ〜、こういう人いるいる!」と思わず叫びたくなってしまいます

これは中島さんお気入りの作品です
なぜかは番組の中で紹介します
 
         
  鉄の建築装飾

ところが驚いたことに、中島さんの人形作りは夜の“趣味”の時間に行われているのだそうで、昼間は会社にお勤めなのです。その会社とは…鉄製の建築・空間装飾を作る「鎚絵(つちえ)」といい、その作品はお店やホテルの看板、エントランス、ロビーの装飾、公園のファサ―ドや手摺りのデザインなど様々。
つまり中島さんは、昼間はバーナーとハンマーを片手に鉄を打ち、夜は柔らかい粘土をこねて人間を作っているわけで、「起きている時間のほとんどは何かを作っている」というご本人の言葉通り、本当に「物作り」が好きな方なんだなあ、とつくづく感じました。
 
溶断器で鉄を切る昼間の中島さんです
宮崎さんは火花に怯えていました

「鎚絵」で手がけた看板
こんなお洒落な作品も作っています
 
         
  遠見ヶ鼻

というわけで、和風から洋風、古風から現代風まで、ジャンルも様々な「モノ作り」「手仕事」をする人々を訪ねた今回の旅。街道・宿場町・城下町という歴史ある場所から、そこに住む人の手で、確かに新しいモノが生み出されようとしているのを感じました。これは古くから外界に接し、雑多な物が次々と流れ込んでくる環境にあった北九州の特性なのか・・・などと考えつつ、響灘の海を眺めて終わります。
 
 
         



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