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(c)安野 光雅
 

みどころ


 
         
 

長い人生の中でいくつも「旅」または「旅行」というものをしてきていると思いますが、記憶に浮かぶその旅先の景色は「どこに行ったか」または「誰と共に行ったか」という事実によって鮮明になって来るもので、「何十年前に行った」という風になると、実際に見た街の景色がモノクロでしか思い出せない事がありませんか?

さて今回の旅は俳優・石丸謙二郎さんの岡山県倉敷の旅。実は石丸さん、三十年ぐらい前に一度訪れた事があったというので、倉敷は二度目の旅なのです。けれども散歩を始めて石丸さんからこぼれた言葉は「なんだか自分の記憶と合わないんだな。。。」昔初めて来た時は、たまたま倉敷の絵はがきを見つけ、行ってみようと思ったという石丸さん。モノクロの記憶を頼りに、昔の思い出を散歩します。まずは倉敷の美観地区から旅の一歩が始まります。

 


 
         
 

ヤマウ商店

倉敷の町は江戸時代幕府の直轄地となり、天領60万石を支配する代官所も設けられ陸路・水路によって様々な物資が行き交う商業の町として栄えました。今でも白壁の土蔵がいたる所に残され、昔の面影を残している町並みが、多くの観光客をよんでいる人気の一つとなっています。石丸さんも初めて来たような気分に包まれながら人気のスポットである美観地区を歩きます。
ブラブラと歩いていくうちに、お土産屋さんが立ち並ぶ一つの路地で「鮮魚カステーラ」と書かれた面白い看板を見つけ、石丸さんさっそく店内へ。
鮮魚カステーラとは見た目が「カステラ」のようですが、どうもお菓子ではないようです。石丸さんもお店の人に進められ、まずは試食。ヒントは昔はこの辺りは魚市場も立ち並び、魚屋も多かったという歴史背景。
さて皆さん想像つくでしょうか?「倉敷」という町の歴史をこの「鮮魚カステーラ」に少し教えてもらいつつ、さて次に目指すは「三宅商店」。

 
 
         
 

三宅商店

地元の人から教えてもらった辻信行さんは、倉敷の本当の魅力を伝えたいと活動する地元の有名人で、ここの人々の生活が垣間見れてこそ、さらに倉敷の本当の魅力が伝わるのではないかと、様々な活動で町おこしをしている方です。そんな辻さんのお店「三宅商店」を見つけました。看板には「日用雑貨・荒物」と書かれていますが、、、、、。
店内へ入ってみると、そこはなんとも不思議な空間。店でお茶する人もちらほら見かけます。早速、辻さんにお話を伺ってみると、実はこの建物は江戸時代後期に立てられた町家で、戦前より日用雑貨・荒物屋としてこの地に建っていたとか。それをそのまま喫茶店にして営業をしているそうですが、京都の長屋風で奥へ奥へと土間が続き、いきつく先には蔵まで構えているんです。
実際こんな大きな長屋には住んだ事がないもので、「お仕置きされた子供なんかはここに入れられたんだろうね」なんて、辻さんと一緒に想像力を働かせながら、懐かしさの漂う空間に子供心を弾ませます。
さて、そんな三宅商店のお茶屋さんで一息ついてから、辻さんの言う“さらに奥へと続く倉敷の魅力”を見つける為に、町のもっと奥へとめぐります。

 

 
         
 

本通り商店街・山田サイクル

辻さんが案内してくれたのは、本町通りをさらに行った所にある商店街のアーケード。まず始めに二人が出会ったのは、理容店を営むおばあちゃん。この道60年という片桐田加子さんと店先で世間話を交わしつつ、先へと進みます。そしてやって来たのがついに登場、辻さんがぜひとも連れて来たかったという自転車屋さんです。
ここの界隈の人は皆ここの自転車を乗っているという昔ながらの自転車屋さんで、店主はまだまだ現役のもうすぐ80歳になるという山田昭二さん。山田さんが作る自転車が店先に並んでいるのでまずは見せてもらいます。が、ちょっと変わった事を発見した石丸さん。「あれ、ブレーキがついてないですね、、、、。」
実は山田さん、「自分が乗って楽しく、どこにも無い自転車を作りたい」と色々な自転車を考案されているのです。「これがうちの一番の売りじゃ」と誇らしげに見せてくれたのが、その名も“オットサイクル”。山田さんが考え抜いて、自転車とはこういうもんだと作られた自信作。「自転車は部品が組み合わさって出来ているので、色んな風に出来るから面白いんじゃよ。」と、アイデア一杯でどこか夢を与えてくれる山田さん。自転車が大好きな石丸さんも、そんな山田さんの作る自転車を試し乗りです。

 



 
         
 

ふなめし

辻さんと山田さんと別れてから町を歩いていて見つけたのが、魚屋さんにブラブラと揺れる木の看板。そこに書かれているのは、あまり見た事のない「ふなミンチあります」という文字。
実は倉敷の人たちにとって、この時期の懐かしい味がフナをミンチにした「ふなめし」という家庭料理なんだそうです。最近では若い人もほとんど食べなくなったと言いますが、魚屋さんでまだ普通に売られているところを見ると、そりゃどなたかに作ってもらいたい。どなたか作ってくれる方がいるはずだと思っていた所、願いを叶えてくれたのが佐々木房枝さんと佐々木隆昌さん。元々フナの産地だったという柳井原地区にお嫁に来て、お義母さんからその味を受け継いだ佐々木房枝さんのお宅へおじゃまして、その「ふなめし」を料理してもらいます。
話を聞くと、この時期のフナは“冬のフナ”という意味で「寒ブナ」と呼ばれ、魚の活性が低いため川魚特有の臭いが少なく、身がしまっていて一番おいしい時期なのだそう。さてそのお味は?

 



 
         
 

倉敷帆布

倉敷は全国でも屈指の綿作地帯で、明治時代には大規模の織物工場が作られ、繊維工業の都市として知られるようになりました。そんな繊維の町倉敷では、古くから船の帆に使われる布「帆布」が作られていました。近年では幅広くその布の価値が見直され、生活にもっと近い所で利用されるようになりました。「帆布」は細い糸を何本も撚り、太くしてから織って生地にしていくので厚手の丈夫な布です。天然繊維という事もあり、幅広い分野で利用されているこの「帆布」は、実は全国でも70パーセントがここ倉敷で作られているのだそうです。
そんな倉敷帆布で数々の利用法を研究しつつ、帆布を生産している「バイストン」の武鑓さんに帆布の話を伺います。

 
 
         
 

メバル漁

大の釣り好きな石丸さんが今回の旅で一番といえるぐらいに楽しみにしていたのが、地元の漁師さんに案内してもらってするメバル漁。
そのために向かったのが、室町末期以後内海交通の要綱になり港町として栄えた下津井港です。前半で歩いていた倉敷の町並みとはまた一変して、漁業の町「別の顔の倉敷」が広がります。
朝早いのもなんのその、元気一杯の石丸さんは眠気もフッ飛ばし、地元の漁師西谷さんと、瀬戸大橋の架かる内海へ、メバルを目指して出発です。

さてここで問題。番組上で釣っているのが、どうも私たちの思うメバルと違うようであります。この地方でメバルと呼ばれる魚がベテランの西谷さんの腕によって次々に船の上に上げられます。が、どこか?マークが飛び交う船上。さて石丸さん、勇気を出して聞いてみます。これ○○○ですよね、、、、?

釣りが終われば待っているのは西谷さんの奥様が作ってくれる下津井の家庭料理。自分で釣った魚を食べる時が、一番の至福の時です。お二人そろって、頬っぺたが落ちそうな満面の笑顔がこぼれます。

 

 
         
 

藤戸饅頭本家

さてところ変わって、倉敷市の藤戸地区にやってまいりました。ぷらぷらと、路地裏が大好きな石丸さんがいつものように散歩しながらやってまいりました。
ある店の前で立ち止まります。「あれ?」「前来たことある?」と何が一体起きたんだとでも言うべく、たいそう驚いている石丸さん。さて、その理由がなんともおかしい。どうぞ番組をごらんになって、皆さんも思い出してみて下さい。実は石丸さんは一度だけ、このお饅頭屋さんの入り口に立った事があるのでした、、、。
まあそんな騒動もさておき、ここの藤戸饅頭をお一ついただきます。店内のガラスケースの中にちょこんと置かれるお饅頭は、なんとも愛らしい小さなお饅頭です。こし餡で薄皮に包まれた饅頭は、一口食べるとその上品な甘さにホッと疲れがとれるような味。そしてなんとも凄いのが、ここのお饅頭屋さんの歴史の古さです。時は源平合戦の時代、まだこのあたりが一面海の頃、軍船を持つ平家が児島地区に陣を取り、原氏とこの藤戸で対しました。そこで起こった事件によって、このお饅頭が生まれたのだというからそれはそれは長い歴史になりますね。

 
 
         
  様々な倉敷の面を再発見して、さてもうそろそろ帰路の時間になりました。
昔来た時の記憶を手繰り寄せながら、同じ場所をもう一度旅するというのは、どこか懐かしくて嬉しくもあり、またその懐かしさにさみしくもあります。旅をして良いのは、そんな時間に浸れる身になれる事ではないでしょうか。また行きたいなと思わせる倉敷の魅力は、そこに住んでいる人々が持っている魅力によって昔から、今もなお続いているのかもしれません。「故郷の風景」または「田舎の風景」というものが、年々気づかないうちに消えていく中で、ここ岡山県の倉敷は、人が守ろうとするからここにある、懐かしい町並みが残る一つの風景なのかもしれません。
   
         
 

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