番組からのお知らせ
番組データ集
ご意見・ご感想
(c)安野 光雅
 

みどころ

冒頭から撮影裏話をするというのも何ですが、実は今回の旅、あまりお天気に恵まれず、屋外を諦め屋内で撮影、ということが多くなりました。
梅雨の真っ最中ですから仕方ありません。
普通ならここで残念に思うところですが、今回は違います。
むしろ雨でよかったんじゃないかと思ったぐらいです。
雨のおかげで、楽しいお話、神秘的なお話、笑い話、たくさんのお話に出会えたからです。
なぜ雨のおかげか?
人って、雨で外に出ることができないとなると、家の中で腰を据えてゆっくりお話でもしようじゃないか、そんな気分、つまり「お話モード」になると思うんです。
というわけで、お話大好きの佐藤正宏さんと巡る、お話三昧宮崎県の旅、始まりです。


 
         
 

日本海軍発祥の地

いきなり巨大な石碑を発見。「日本海軍発祥之地」とあります。
この土地に造船所や操練所があったのかしら?なんて思いましたが、さにあらず。
お話は神話の時代、有名な「神武東征伝説」まで遡ります。伝説によれば、初代神武天皇が船団を率い、東へ向けてお船出(つまり出陣)をされたのがここ美々津なんです。そんなわけで日本海軍発祥。なるほど。さすがは宮崎、ひむかの国ですね。

 


不思議なデザインの石碑です。横から見ると・・・

 
         
 

美々津の町散策

そんな由緒ある港町、美々津が最も栄えたのは江戸時代。参勤交代ではお殿様の船もここから出て行ったとか。
当時の家並みが今も残り、美々津は国の伝統的建造物群保存地区に指定されています。
町並み保存会の佐藤久恵さんとともに町を散策します。

ご近所の軒先を借りてちょっと休憩。・・・とお二人が腰掛けたこの縁台。
美々津のそこかしこに見られるものなんですが、ただの縁台とはひと味違います。
昔の人の知恵が詰まっているんです。詳しくは放送で。

 


古い家並みが何ともいい雰囲気。佐藤さんもすっかり和んでいます。

名前を「バンコ」といいます。

 
         
 

美々津軒

続いて久恵さんに案内していただいたのが美々津軒。
廻船問屋だった当時のたたずまいがそのまま残る、美々津の象徴ともいうべき建物です。
実はここ、久恵さんの自宅なんです。
今でこそ一般公開されていますが、それまでは普通に久恵さん一家が暮らしておられたというから驚きです。
それだけに久恵さんの思い入れも並大抵ではなく、一晩中この建物の話をしても足りないというほど。
そんな久恵さんに導かれて、佐藤さんが美々津軒の隅々まで探検します。「探検」という言葉にふさわしく、最後には隠し扉を発見!

 
一階から二階が見える珍しい構造です。

こんなところに小さな扉が!

 
         
 

冷汁

久恵さんにご近所のお二人が加わって、日向名物の冷汁を作っていただきました。
県知事のPRも手伝ってすっかり有名になった冷汁ですが、ご飯に冷たい味噌汁をかけたもの・・・ぐらいに考えている方も多いのではないでしょうか?恥ずかしながら私(AD)はそうでした。
ところが実際に作るところを見せて頂いたら全く違っていました。七輪でアジを焼き、味噌を炙り、すり鉢でゴマをすり、冷たいだし汁で溶いて・・・。手間がかかっているんです。
そしてお味は・・・推して知るべし、絶品です!

 
冷汁、完成です。

ひとたび箸を取ると・・・もう止まりません!
 
         
 

椎葉村へ

美々津を後にして耳川沿いを西へ、その源流がある椎葉村を訪ねました。
村に入ると、景色が一変します。とにかく山、山、山。四方どこを見ても急峻な山が折り重なり、それがどこまでも続いているのです。土地の96%が山だといえば、その感じが少しはお分かりいただけるでしょうか。

 


椎葉村の典型的な景色です。見えにくいかもしれませんが、山頂付近は霧がかかっています。

 
         
 

平家伝説

そんな山深い土地、椎葉は平家伝説の村でもあります。
源平合戦で敗れた平家の落人にまつわる話がいくつも残っているのです。
なかでも有名なのは「鶴富姫伝説」。それはざっと次のようなお話です。
――落ち延びた平家の人々は椎葉でひっそりと暮らし始めますが、やがて源氏の総大将頼朝がこの地へ追討の兵を向けます。命を受けたのは、那須大八郎という若者。有名な那須与一の弟です。
大八郎は苦労の末、この地に平家残党を見つけます。ところがそこで見たものは、かつての栄華とは無縁の、つましく暮らす人々の姿でした。大八郎はその姿に心をうたれ、討伐を諦めてこの地に留まり、彼らとともに暮らす道を選びます。
そんな中、大八郎は一人の娘と出会い、恋に落ちます。名を鶴富姫といい、平清盛の末裔でした。なさぬ仲の二人でしたがやがて結ばれ、一子をもうけました。
ところが程なく幕府から大八郎へ帰還命令が来て、二人は無情にも引き裂かれてしまいます。悲しみに暮れながらも、鶴富姫は残された子供を大切に育てた、というお話です。

なぜ長々とこの伝説をご紹介したかというと、もちろん理由があります。
今回、椎葉秋夫さん、椎葉幸一さん、那須登さん、那須重美さんの重鎮4人にお集まりいただいて伺ったお話は、「なぜ椎葉村には、椎葉さんと那須さんが多いのか?」ということなんですが(実際、椎葉村ではほとんどの人が椎葉さんか那須さんなんです)、この答えが「鶴富姫伝説」と深く関わっているからなのです。
びっくり仰天!の話のはずが、まるでちょっと前に起きた何でもない出来事のような、とても身近な感じがして不思議でした。

 


こういう話には囲炉裏がよく似合います。

 
         
 

菜豆腐

椎葉の名物に「菜豆腐」という珍しい豆腐があると聞き、その道45年の那須由井子さんを訪ねました。
その正体は、季節の野菜を混ぜて作った、見た目も鮮やかな豆腐。
昔、原料の大豆が貴重品だった頃、豆腐の量を増やすために野菜を用いたのが始まりだとか。昔の人の生活の知恵を感じます。

 


大根の葉と人参が入った菜豆腐。菜の花や藤の花を入れることもあるそうです。

 
         
 

スゲのテゴ

スゲ笠って時代劇で見たことありますよね。
その原料となるスゲ(菅)を編み込んで、「テゴ」という物入れを作っておられるのが椎葉寅雄さんクニ子さんご夫妻。
このテゴ、かなりの優れものです。山の収穫物はもちろん、一升瓶から生け花まで、何でも入れられるんです。極めつけは水!なんと水を入れても洩らないというから驚きです。
さらに丈夫さも折り紙付き。「死ぬまで使える」とは寅雄さんの談です。
ただ、昔は椎葉のどこの家でも作られていたというテゴも、今はこのご夫妻だけ。貴重品となっています。

 


これがテゴ。出来上がりの美しさはさすが名人。

製作日数なんと一ヶ月!根気と技術のいる仕事です。

 
         
 

ちびっこ落語

最後に、あるユニークな授業を見学するため、お邪魔したのが不土野(ふどの)小学校。
その授業とは落語です。
小学生のクマさん、八っつぁんなんて考えただけで愉快です。
ただし稽古風景は真剣そのもの。着物まで着て本格的なんです。
それにしてもどうして落語なのか?
理由は児童の少なさにありました。
不土野小学校の児童数はわずか5名。身近な人たちと濃密な関係を築ける反面、初対面や大人数の中という機会が少なく、どうしても苦手意識を持ってしまいがちだといいます。
そんな時落語が役に立つのではないか、という思いから始まったのです。
なるほど落語には「大勢の前で話す」、「演じる」、「人を笑わせる」などなど、コミュニケーションにおいて大切な要素がいっぱい詰まっています。素晴らしいアイデア!しかも何より楽しそう!
この落語の授業、もう20年も続いています。
番組では卒業生が在校生に贈ったという落語にまつわる記念品も紹介します。
それが何かはお楽しみ。思わず頬が緩みます。

 


「タダの酒じゃなくて、灘の酒だろ」
稽古に熱が入ります。

 
         
 

旅を締めくくるのも、今回はやはりお話で。
最年少噺家(?)「夢織亭けい」こと久間圭一郎くん(小3)の落語です。たっぷり楽しんでいただきましょう。

 

番組のトリに相応しい、堂々とした噺家ぶりです。

 
         
         


Copyright(c)TVMANUNION,Inc.,YTV
Allrightsreserved.