番組からのお知らせ
番組データ集
ご意見・ご感想
(c)安野 光雅
 

みどころ

まずはタイトルにある「みすゞさん」について。
みすゞさんとは、大正から昭和にかけて活躍した童謡詩人、
金子みすゞのことです。
金子みすゞは、20歳から26歳の若さでこの世を去るまでに
512編の童謡を残しました。
彼女の童謡はいち早く西条八十の目にとまり
「若き童謡詩人の中の巨星」と賞賛されましたが、
不幸なことに彼女の死後その作品は長らく忘れられてしまいました。
ところが今から二十数年前に転機が訪れます。
彼女の遺稿手帳が見つかったのをきっかけに 「全集」が発表され、
瞬く間に多くの人の心をとらえました。劇的な「甦り」でした。
現在では小学校の国語の教科書に採用されるまでになり、
日本中に多くの金子みすゞファンがいます。
そんなファンにとって「聖地」とも呼べる場所が、
山口県長門市仙崎、彼女の生まれ故郷です。
彼女の「甦り」に伴って、
仙崎は「金子みすゞとともにある町」になっているといいます。
いかに「金子みすゞとともにある」のか?
今回の旅人、下條アトムさんとともにのぞいてみることにします。


 
         
 

みすゞ潮彩号

まずは今年の7月1日から運行が始まったばかりの観光列車「みすゞ潮彩」に乗ります。
その名から想像できる通り、終着駅はみすゞの故郷仙崎。私たちの目的地です。まさに今回の旅の始まりにふさわしい列車ですね。
この列車、かなり変わっています。写真で分かりますか?なんと座席がすべて横向き(日本海側向き)になっているんです。海岸沿いを走る観光列車ということで、乗客が景色を楽しめるように工夫されているわけなんです。

 


 
         
 

「大漁」の碑

仙崎に到着して最初に訪れたのは、金子みすゞの銅像と、代表作「大漁」が刻まれた石碑です。
今回は番組の中で金子みすゞの童謡をいくつもご紹介することになりますが、やはり初めは「大漁」で決まりです。下條さんの朗読で味わってください。

 


 
         
 

仙崎魚市場

仙崎は昔も今も漁業の盛んな町。
みすゞの童謡にも、「大漁」をはじめとして魚や漁の様子がいくつも登場します。
その朝獲れたばかりの多種多様な魚を、山口漁協の板場さんに案内していただきました。

 
 
         
 

みすゞ通り

金子みすゞ顕彰会の草場さんにお会いして、仙崎の町を案内していただきます。
まずは仙崎のメインストリートを歩きます。名前はずばり「みすゞ通り」。
みすゞの「甦り」に合わせて名付けられたといいますが、名前以外にもみすゞにちなんだユニークなものを発見しました。通り沿いの家の軒に、小さな木の板があっちにもこっちにもぶら下がっているんです。
地元の人が詩札(しふだ)と呼んでいるもので、その家の人が、好きなみすゞの童謡を札に書いて、軒に吊るしているんだそうです。金子みすゞがいかに人々に愛されているかが分かりますね。みすゞの優しい詩が風鈴みたいに風で揺れる様子は何とも微笑ましくて、心がなごみます。

 
 
         
 

金子みすゞ記念館

みすゞが幼い頃から住んでいた場所に、当時の姿を復元し、平成13年にオープンさせたのが金子みすゞ記念館です。
みすゞの家は当時町でただ一つの本屋さんでした。そんな店舗の様子やみすゞの部屋までも丁寧に作りこまれ、在りし日のみすゞに思いを馳せることができます。
みすゞの童謡の魅力について、下條さんと草場さんがお話をするには絶好の場所といえます。


 


記念館の入り口。当時の本屋さんが復元されています

 
         
 

まちなかギャラリー

次に草場さんが連れて行ってくださったのが、「まちなかギャラリー」という不思議な空間。部屋全体を蒲鉾板がぎっしり埋め尽くし、モザイク壁画を作っているのです。
よく見ると板の一つ一つには右写真にあるようなメッセージが書き込まれています。その数なんと2万枚!それだけでも十分圧倒されるのですが、さらにこの壁画にはあっと驚く仕掛けが隠されていました。放送を見てのお楽しみです。

 


こんな蒲鉾板が2万枚!壮観です

 
         
 

仙崎小学校

金子みすゞの母校、仙崎小学校を訪ねました。
この小学校ではみすゞの優しい心を子供たちに伝えようと、みすゞの童謡を教材にした授業が行われています。
一年一組にお邪魔して、その様子を見せていただきました。
児童がみすゞの童謡を一斉に朗誦するところから授業は始まりました。今回は「こだまでしょうか」という童謡。大人がよむのもいいですが、こうして子供たちが元気いっぱいに読むみすゞの童謡というのは格別のものがありました。


 



 
         
 

夏みかん原樹

仙崎の向かいにある、青海島(おおみじま)という大きな島へやってきました。
ここには日本にたった一本だけという珍しい樹があります。
それは日本中にある夏みかんの元の元といわれる樹。つまり夏みかんの原樹なんです。
樹齢300年というその樹は、西本ヒサエさんのご自宅の庭にひっそりと立っていました。なんでも浜に流れ着いたみかんの実を拾い、庭に植えたのが西本家の六代前の娘さんだったとか。

 


これが夏みかん原樹。国の天然記念物です

 
         
 

くじら資料館

青海島は、明治時代の終わりまで古式捕鯨が行われていた「鯨の島」として有名です。
その独特の鯨文化を学ぶため、くじら資料館を訪ねました。
館長の藤井さんに貴重な捕鯨用具を見せていただきました。

 


捕鯨用具の数々。これほど保存状態のいいものが数多くそろっているのはここだけだとか

 
         
 

鯨墓

青海島では鯨は神の恵みそのもの。特別な存在でした。
ですから当たり前のように「鯨のお墓」があるんです。
ここ鯨墓には、メスの鯨のお腹にいた胎児約70頭が葬られていて、今でも年に4回、島の人が集まり鯨の供養を行っているといいます。
この地を度々訪れたという金子みすゞも、「鯨法会(ほうえ)」という童謡を残しています。下條さんの朗読でお楽しみください。
鯨を人間と同じように扱った土地の人の心が、どこか金子みすゞの詩の世界に通じているように思えました。

 

お参りする人が今でも後を絶たないそうです

 
         
 

鯨の過去帖

鯨を人間と同じように扱った青海島の人々。
その独特の鯨文化をよく表すものが鯨墓のほかにもありました。
ここ向岸寺に伝わる「鯨の過去帖」です。
数百年来、このお寺では獲れた鯨に戒名をつけ、この「過去帖」に載せて大切に供養してきたというのです。そんな貴重な品を住職の松村さんに見せていただきました。

 


普通は中身を見せてもらえないのですが、今回特別に見せていただきました。
一番上の四文字の漢字がこれまで弔われた鯨の戒名です。

 
         
 

ちひろさん

最後に再び仙崎に戻って、ちひろさんという女性にお会いしました。。
ちひろさんは金子みすゞの童謡にオリジナルの曲をつけて歌っておられる、山口在住のシンガーソングライターです。
きっかけは数年前、ちひろさんがスランプに陥っていた時だったといいます。
何気なく手に取った本が金子みすゞの詩集でした。読んだ途端、ちひろさんは強い衝撃を受けました。ちひろさんがずっと探し求めていた表現世界が、そこに言葉の宇宙となって広がっていたからです。たちまちメロディが浮かんできたのだそうです。
そんなちひろさんに、みすゞとの最初の出会いの詩だったという「私と小鳥と鈴と」を歌っていただきます。とても素敵な曲です。ぜひ放送で聴いてください。

 


ちひろさんと記念撮影です

 
         
「金子みすゞとともにある町」仙崎。
目で見えるものもさることながら、
なによりみすゞの優しい心と「ともにある」仙崎。
このことを実感できた旅でした。

Copyright(c)TVMANUNION,Inc.,YTV
Allrightsreserved.