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(c)安野 光雅
 

みどころ

今回の「遠くへ行きたい」、旅人は特徴的なテノール声とその演技で定評のある俳優・伊武雅刀さん。彼が、以前映画の撮影で大変お世話になったという、徳島県・阿南市の椿泊という漁村を訪ねました。四国の最東端に位置する阿南市、周辺にはリアス式の天然の港が広がり、魚種、水揚げ共に豊富な漁業の町です。昔ながらの漁村の風景と飾らない人柄の漁師さん達に再会し、伊武さんの夏休みが始まります。


 
         
 

定置網漁

 以前、お世話になった漁師の笠井さんの定置網漁を手伝います。この時期は、イワシに豆アジ、鯛にオコゼ、ハモが捕れることもあります。小さな集落にもかかわらず、椿泊には250人もの漁師さんがいて、各々が多種多様の漁をして生計を立てています。定置網漁の他に、刺網、一本釣りに延縄、底引き網に流し網などさまざまな漁があります。また、今の時代に珍しく海人さんもおり、潜水して魚を捕ります。漁師さん達は皆、伊武さんに、釣りたての魚をその場でさばいてもてなしてくれました。その魚の新鮮で、おいしいことおいしいこと!身がしまって甘い太刀魚の刺身。東京ではなかなかこんなにぷりぷりしたものは食べられません。ワタリガニの味噌は口の中に入れるとふわっと溶けてまるでウニを食べているような食感です。汁も魚介のうまみを凝縮していて、これには伊武さんも大興奮です。

 


捕れた魚を味見しながら、伊武さんもさばきます。

贅沢な宴の準備完成!右上のワタリガニは東京では数万円!


 
         
 

港の女性は働き者

この時期、集落内で見かけるのがハモ漁の仕掛けをつくろう女性達。夏に、大阪・京都
でハモに高値が付くため、ここ椿泊では、ほぼ毎日ハモの延縄漁が行われています。しかし、この仕掛け、実はとてもやっかいです。120メートルほどの幹縄に10メートル間隔で120本の釣り糸と針をつけたものなのですが、一度使うと切れたり、ほつれたりするので、一本の仕掛けに付き一時間から二時間もかけて、漁師さんの妻達が直します。細かいことから力仕事まで、港でも女の人が大活躍していました。そして、残念ながら番組中ではご紹介できなかったのですが、ハモの延縄漁師の奥さんの一人、藤田恵美さんの家で、ハモをさばくところを見学させてもらいました。恵美さんはハモ料理を作る名人。手際よくハモの薄い皮をはいでいきます。はいだ皮を竹に巻いて、バーナーであぶって冷蔵庫で冷やして食べるのがツウの食べ方。熱した直後より身がしまり、歯ごたえがよくなり一層旨味が増します。また、「竹輪」とはハモの皮を「竹」に「輪」のように巻いて調理することから名前が付いたそうです。酒の肴にも夕飯のおかずにももってこいの絶品のハモの皮竹輪を食べた伊武さん、ここでも魚料理に脱帽です。


 


ハモ釣りの網は、使用後の手入れに四時間かかることも。

ハモの皮竹輪。お土産にいただいて、スタッフの夜のお楽しみになりました。

 
         
 

うなぎ釣り

 天然のうなぎを食べたことがありますか?都会ではうなぎ専門店などに行かないとなかなかお目にかかれません。しかし、ここ椿泊の福井という集落では、福井川の海水と淡水が入り混じる水域で、天然のうなぎがこの時期よく釣れるそうです。ミミズを餌にうなぎを釣ります。このミミズ、体長十五センチにも及ぶものでこれを畑で見つけてくるのが、ひと苦労。一人、2、3本の竿を置き、竿につけた鈴がなったら釣り糸を引きます。時には、一キロあまりのうなぎが釣れることもあり、他県からも釣り人がやってきます。師匠は、若木昭さんと黒川勝典さん。二人に指導してもらいながら伊武さんは大物を狙います。

 
さすが、天然の川!うなぎだけでなく海老まで釣れてしまい・・・。

 
         
 

青色LEDみかん

 「月夜」という不思議な名前のバス停から歩くこと十五分、谷地に少しの田んぼと畑、そしてビニールハウスがありました。実はこんな山の中でみかんが栽培されていました。しかも、このみかん、ただのみかんじゃありません。青色LED(発光ダイオード)の光を照射して育てたみかんで、小売価格では一個250円以上の値段が付くこともある高級みかんなのです。この青色LEDは地元の日亜化学工業という半導体メーカーが世界で初めて開発したもので、少し前に特許問題で話題になりました。ここでみかんを栽培しているのは、二十年以上みかんのビニールハウス栽培に従事している藤田重美さん。藤田さんは、冬から夏にかけて6ヶ月間、一日中みかんにLEDを照射して栽培しています。メリットは、LEDによって、害虫の発生が抑えられるため、消毒が少なくて済み、その分みかんの甘みが増すそうです。しかし、甘いといっても通常のハウスみかんのような甘さではありません。甘い中に酸味が利いていてその味の絶妙なバランスが一度食べるとやみつきになってしまうのです。実は伊武さん、ビニールハウスのロケが終わってからもずっと、頂いたダンボールいっぱいのみかんを食べ続けていて、夕食はあまり進まなかったとか・・・。

 
作業の合間。ちょうど伊武さんが出演中の大河ドラマのことで盛り上がっていました。

ツウは青いみかんがたまらないそう。でも青くても甘いのです!
 
         
 

人形浄瑠璃

 淡路島から徳島にわたる地域で盛んに行われてきた伝統芸能に人形浄瑠璃があります。この地方の人形浄瑠璃は主に農村舞台を中心に広がっていきました。農村舞台で使われる人形は、普通の浄瑠璃で使われる人形と違って、人形の顔の皮が厚く頑丈に造られているのが特徴的です。伊武さんは、旅の最後に新野中学校の民芸部の生徒たちがこの日のために一生懸命練習してくれた人形浄瑠璃を鑑賞します。ここでは、中村園太夫座の座長である長野広太郎先生にお願いして、わざわざ学校に教えに来ていただき、子供たちに伝統文化を継承していくことの大切さを学んでもらっているのです。生徒たちは、未熟ながらも学校の先生方の期待にこたえようと日々熱心に部活動に取り組んでいます。


 


林崎農村舞台。保存会が結成され、地元大工やボランティアによって今年六月に復活したばっかり。

 
         
         
今回の旅は伊武さんにとって、徳島の人々の暖かさをしみじみと感じることができる旅になったのではないかと思いました。どこに行っても有名人の伊武さん、しかし、徳島の皆さんはまるで古くからの知人の様に親しみを込めて接して下さいました。おみやげにはみかんと獲れたての魚をどっさり。帰京してしばらくは、おかずに困らなかったそうです。自然を愛する伊武さんの素朴な一面を垣間見ることができた夏休みでした。

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