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(c)安野 光雅
 

みどころ

今回の旅人は、女優・仁科亜季子さんです。「遠くへ行きたい」へは、今までにも何度かご出演いただいていて、ゆっくり土地を堪能するという番組ならではの旅のスタイルがとても好きだと言ってくださる仁科さん、今回も岩手県の自然と伝統に触れる旅です。


 
         
 

鈴木盛久工房

岩手県の特産品、南部鉄器は日本有数の高級鉄器のひとつで、普通の鉄器と違って、鋳型を使って鉄を流し込んで形を作り、その後何度も漆を焼き付けます。だからこそ、上品な形と色合いが出せる、とても手間のかかるものです。その昔、南部藩の藩主が盛岡の地に城を築いたときに、お抱えの釜師を置いたところから伝承されてきました。十三代目の鈴木繁吉盛久さんは、人間国宝にもなった人だそうです。今回、いろいろと教えてくださったのは、この業界では珍しい女性、十五代盛久を受け継いだ熊谷志衣子さんです。この地方では昔から、ふいご祭り(火の神様のお祭り)が毎年十一月八日に行われ、火を取り扱うお店(鍛冶屋・釜工房・鉉工房)が参加します。他の地方だと周りに住宅があるとなかなか火を扱うお店は開けないのですが、盛岡の人々は鉄器作りに寛容で、伝統を受け継ぐ工房が他にも健在です。仁科さん、番組では放送されていませんが、上品な柄の鉄器をご購入されました。南部鉄器で入れたお茶は、鉄分がお茶に溶け込んでとてもまろやか、体にもとても良いのが特徴です。

 


「日の丸」という最も長く作り続けている型。日本人の優しい性質が感じられませんか?

南部鉄器で入れたお茶は本当においしい。鉄分豊富でお茶がまろやかになります。

 
         
 

茣蓙九(ござく)

文化十三年(1816年)に創業した老舗中の雑貨屋 茣蓙屋さんです。名前の由来は、店主が代々「森九兵衛」と名乗ったことから、茣蓙を売る九兵衛→茣蓙九となったそうです。当初は、神仏の燈明に使う燈芯売りを生業としていましたが、次第に、盛岡周辺の農家で作られる手工芸品・わら工品・竹細工・荒物・雑貨を農家の人々に代わって販売するようになりました。上質で昔からの伝統的な技を守る一方で、観光客むけの茣蓙商品も用意しています。仁科さんもその品ぞろえにビックリ!


 


たわしも置物になっちゃうくらい芸術的な作品を作る農家の方がいるんです!

店は良質の茣蓙商品で一杯。本物の茣蓙ってとてもいい香りがします!

 
         
 

関口屋菓子舗

盛岡の隠れた名産品「焼酎糖」。聞きなれない方も多いかもしれませんが、砂糖菓子の中に焼酎が入った、大人も子供も楽しめる駄菓子の一つです。ここ、関口菓子舗では全て手作りで昔ながらの焼酎糖を作り続けています。いうなれば、ウィスキーボンボンの焼酎版。作り方もとってもユニークです。お酒の弱い仁科さんは残念ながらいくらおいしくてもたくさんは食べられません。個人差はありますが、焼酎糖を6つ以上食べると運転は出来ません!


 
一つ一つ手作りなので全て形が違い、気候によっても味が変わります。

ご家族で経営。もてなしも温かく、常連客も多いのです。

 
         
 

小岩井農場

今や日本全国のスーパーでその名を目にする「小岩井農場」。しかし、なぜ小岩井という名前が付いたかご存知でしょうか?地名と勘違いされることが多いそうですが、小岩井とは創業者の苗字の頭文字を合わせた名なのだそうです。小野義真(日本鉄道会社副社長)、岩崎彌之助(三菱社社長)井上勝(鉄道長長官)が、自分たちが今まで鉄道を建設するにあたって、多くの木々を犠牲にしてきたことを補おうと、火山灰土の原野を開墾して植林を進めていったのが農場の始まりです。小説家・詩人の宮沢賢治もたびたびこの地を訪れて多くの作品を残していることでも有名です。今や岩手ではなくてはならない観光地で、東京ドーム640個分の敷地内には、牛2000頭、鶏20000羽、その他、羊・犬など数多くの動物が飼育されています。今回、牧羊犬が羊の群れを移動させる様子をショーで見せてもらいました。(シープ&ドッグショー)羊を牧羊犬が誘導して橋を渡らせたり、柵の間を通らせたり。このボーダーコリーという名の牧羊犬は、目力で羊をおびえさせて誘導するそうです。羊と犬の駆け引きは、まるで、小さな動物の劇を見ているようでとても面白かったです。

 
牧羊犬が、羊の群れを誘導する様子。犬は本当に利口です。

小岩井農場の敷地内にある一本桜。春もいいですが夏もまた良し。

 
         
 

雫石牛のステーキ

雫石は、盛岡から車で2,30分のところに位置する町です。ここでは、前沢牛ほどではないのですが、とてもおいしい高級和牛・雫石牛が食べられます。期待に胸をふくらませ、仁科さんは新設のリゾートホテル「ホテル森の風鶯宿」に向かいました。そこのホテルで食べられる雫石牛は絶品で、軽くあぶって余計な脂を落としたら、わさび醤油で食べると牛肉本来の味を一番味わえるそう。やわらかく、口の中に入ると、ふわっとわさび醤油とマッチして何ともいえない絶妙な味をかもし出します。昼は小岩井農場で牛を見学し、夜は雫石で和牛を食べると言う、牛様様の一日になりました。

 


赤身本来のおいしさを閉じ込めた霜降り。

 
         
 

田中鉉工房

南部鉄器を作っている工房でも作っていないのが鉉(つる)の部分です。鉉は、鉄を熱した状態でたたいて形を作るという作業を要するので、鍛冶屋さん仕事になってきます。ここ、田中鉉工房は、田中二三男さんが盛岡では唯一手作業で鉉を作っている工房。現在、菊池翔さんという大学を卒業したばかりの若いお弟子さんを受け入れ、後継者がやっと見つかってほっとしているそうです。朝から晩まで熱さに負けじと鉄をたたいて、一日に出来上がるのはほんの8本程度。これを二十年も続けているのですから、その精神力には脱帽です。菊池さんは、「早く師匠みたいな鉉が作れるようになりたい。だけどその前に工房の皆様にご迷惑をかけない仕事ができるようになりたい。」と話していました。

 
鉉の部分は袋状で、中が空洞のため、火を通しても熱がこもりにくく持ちやすいのです。

田中鉉工房に待望の後継者、菊池さん。若いながら作品に対する熱意には心を打たれます。
 
         
 

ホームスパン

岩手の名産品にホームスパンというものがあります。ホームスパンとは、羊毛を糸に紡ぎだし、それをマフラーやストールに編んだ毛織物です。一番の特徴は、全て手作業で糸を編んでいくので、マフラーやストールはゆるく編んで柔らかく熱がこもりやすい状態に、財布やネクタイなどはきつく編んで丈夫に、という具合に用途によって調節できるということです。そして、なによりもこの生地、軽いのが特徴的です。生地は厚くて温かいのにとても軽くて丈夫で長持ちするのです。今回は、「みちのくあかねの会」という、戦後、働く女性が集まって出来たホームスパン工房にお邪魔して、作る工程を見学させていただきました。一枚のストールを作るのに、2,3ヶ月かかるという手間のかかる作業ですが、ここで働いている女性は皆「出来上がると苦労したことを忘れてしまう」とおっしゃっていて、とても楽しそうに仕事をしていました。長い人では30年から40年働いている方もいて、子育中の人は、午前中の空いた時間を仕事に充てるそうです。戦後の女性たちに生きがいを与えたホームスパン、これからも長く受け継いでいってもらいたい伝統工芸です。

 
女性ばかりが集まって、一日中糸をつむいだり機を織ったりします。女性なら一度は憧れる仕事ではないでしょうか。

丁寧な作業を拝見してお値段がいいのもあたり前、と思いました。
 

今回の旅は、技を受け継いでいる人達に出会う旅になりました。皆、とても自分の仕事に誇りと夢を抱いていて、作業場を拝見させていただいている間ずっと、なんだか神聖な場所に足を踏み入れたときのように緊張してしまいました。技を受け継いで伝統を守るということは、ただ技術を覚えるだけではなく、新しい時代に流されない不動の精神が必要です。またそれだけでなく、新しい時代に合わせた製品を作っていかないと消費者に受け入れられません。そのはざまで、その時代に見合った伝統工芸は日々進化していくのだなあとつくづく実感させられました。


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