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(c)安野 光雅
 

みどころ

「遠くへ行きたい」では5回目の旅となる作家・角田光代さん。過去にはミイラの居る寺、隠れキリシタンの森、松江の「怪談」ツアー、遠野の座敷わらしなどなど、日本各地のちょっと“怖いもの”を訪ねてきました。“怖いもの”の奥にある物語が角田さんを惹きつけるのでしょう。そんな物語から想像を膨らませ、何篇かの小説も生まれたといいます。
さて今回は、幕末の土佐、血みどろの芝居絵で大衆を熱狂させた謎の絵師「弘瀬金蔵」、通称「絵金」の軌跡をたどる旅。暑さも吹き飛ぶ残酷絵の奥に、どんな物語が待っているのでしょうか?

 
         
 

絵金の町 赤岡

かつて商都として栄えた高知県香南市赤岡町。土佐藩の御用絵師だった絵金は、贋作事件により城下を追われ、放浪の末、叔母が住んでいた赤岡町に落ち着きました。商人の希望に応え描いた絵の数々が、今でも赤岡町に残っています。今夜は年に2日だけその当時の絵を見られる「絵金祭り」が行われます。

「赤岡町の印象 ― 驚くほど古い。昔ながらの建物が新しい住居にまじって並ぶ。それらの建物は瓦屋根で日本風なのになぜかアジアの島のような雰囲気。いつもは閑散としているのだろう通りは、祭りだからだろう、全体的に浮かれてそわそわしている感じ」(角田さん取材ノートより)

 

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おじさんたちの桃源郷?!

祭りを待つ町を歩いていると、魚屋から賑やかな声がしています。覗いてみると魚の横でビールサーバーを囲んですっかりいい気分のおじさんたち。なんでも皆でお金を出し合って、自分たちだけの理想の酒場をつくってしまったそうです。お酒なしでは土佐は語れない。たいそうな大酒のみで、酒蔵で絵を描いていたと言う絵金に思いをはせつつ、お祭りまでちょっと一杯!

 

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乾杯!写真
店の裏で作るカツオのたたきは絶品

 
         
 

闇を彩る夏祭り

絵金を酒の肴に話しこんでいる内に、気づけば町は人でいっぱいです。ロウソクに照らされ闇に浮かぶ絵。流れる血、女の髪が、いまそこで動いているように迫ってきます。

「残酷でおどろおどろしいものが負とか忌むべきものに直結しない。人の情とか滑稽さ、必死さ、美しさに反転して結びつくのが面白いと思った」(角田さん取材ノートより)

 

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魔除のため描かれたとも言われています
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  絵金の足跡をたどって

祭りから一夜明け、やって来たのは須崎市。絵金が高知城下を追われた時、弟子を頼ってしばらく住んでいたと言われる町です。

毎日新鮮な魚があがる須崎港。中でも今年生まれた稚魚、「新子(しんこ)」は須崎の人々が“「新子」を食べないと夏が始まらない!”と言うほど愛してやまない夏の風物詩です。絵金も弟子にこんな美味しい魚をふるまわれたのでしょうか。

 

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幼魚(新子)と成魚写真
強い香りをもつブシュカンの皮をかけていただきます

 
         
 

絵金が変えた土佐の伝統

須崎の市川染物店は、職を失った絵金が弟子の仕事を手伝い暮らしていたといわれる染物屋です。高知では、端午の節句や男児誕生を祝いフラフや幟をあげる文化があります。従来の幟を味気なく思った絵金は、大胆に華やかに新しい絵柄を生み出し、町中から注文が殺到したといわれています。

「生き生きとして躍動感があり、依頼主のことを考えている体温あるものになっている。民衆の希望に応えて描くことを絵金自身が楽しんでいたのではないか」(角田さん取材ノートより)

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華やかな土佐の幟の影にも絵金あり!
 
         
 

土佐、夏の風景

高知市・朝倉神社の夏祭りにも絵金の絵が登場します。明治時代から朝倉地区の住人たちが代々絵を引き継ぎ、夏になると絵馬台を立て、絵を飾ってきました。子供の頃から毎年お祭りに参加してきたという弘田さんは“このお祭りが誇りだ”と言います。

 

 

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屏風絵の下をくぐるという珍しいお祭り
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「門外不出じゃき!」と言いつつ貴重な絵を見せてくれた弘田さん

 
         
         
         

土佐人なら誰でも知っている“絵金さん”。絵はもちろん、謎に包まれたその生涯も、未だに土佐の人たちを楽しませています。なにが真で、なにが嘘か。角田さんと一緒に絵金の謎めいた世界に誘われてみませんか?
 


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