今回の旅人は、演歌歌手、ジャズシンガーそして油彩画家としても活躍中の八代亜紀さん。旅するのは、東京墨田区にあるスカイツリーの周辺です。最新技術を駆使した世界一高いタワー。その足元には、昭和の香り漂う魅力的な下町が広がっているんです!「遠くへ行きたい」で、さまざまな地域を旅してきた八代さんですが、下町をひとりで歩くのはなんと今回が初めて。戦災を免れた古い長屋、細く入り組んだ路地、昔ながらの商店街に下町人情…東京でありながら、そこには都心とは違う風景が広がり、違う時間が流れています。最近では、そんな町並みや人情に惹かれて、移り住んでくる若者も増えているとか。かねてより、「ぶらぶら気軽に街を歩いてみたい!」との想いを抱いていた八代さん。“近くて遠い”東京下町には、どんな出会いと発見が待っているのでしょうか?
東京の下町を堪能します!
歴史感じるお散歩クルージングで 東京スカイツリーへ 旅のスタートは、百貨店や多くのビルが立ち並ぶ日本橋から。橋のたもとには2011年に完成した真新しい船着場があり、さまざまな水上ツアーの起点になっているんです。東京を水の上から眺めるのは初めてという八代さん。高まる期待に、船へ向かう足も速まります。 今回八代さんが選んだのは「江戸東京再発見コンソーシアム」が催行している“634(ムサシ)コース”。日本橋から東京スカイツリーまで1時間半で結んでいます。専属ガイドも同乗し、水辺にまつわるいろんなお話をしてくれるので、景色だけじゃなく歴史と文化も堪能。まさに東京を“再発見”できるコースになっています。ふだん車で通るいくつもの橋や高速道路を真下から見上げ、八代さんは大興奮!日本橋川から隅田川へと出る頃には、かつてここを往き来していた江戸っ子たちに思いを馳せ、自然と歌を口ずさんでいました。隅田川の川波に揺られながら聞く八代さんの歌声…もう最高ですよ!皆さんもぜひ、一緒に乗っている気分でお楽しみください!
日本橋船着場 「江戸東京号」でGO! 舟めぐりを楽しむ八代さん 旅にぴったりのあの歌
東京の“ミニパナマ運河” 江戸っ子たちが愛した“大川(隅田川)”から、小名木(おなぎ)川に入ります。深川のあたりをひっそりと流れるこの川、実は16世紀末に徳川家康が開削させた運河で、千葉の行徳塩田から塩を、そして北関東や東北地方から食料などの生活物資を、一大消費都市である江戸へと運ぶ大事なルートだったんです。 この運河を進んでいくと、やがて「前扉」と書かれた赤い水門が見えてきます。そこをくぐると、その先には「後扉」と書かれたもうひとつの水門が。船が入ったのを確認すると前扉は閉められ、二つの扉に挟まれた部分の水が抜かれていきます。みるみる下がっていく水位…まるで水のエレベーターに乗っているような気分です。この施設は扇橋閘門(こうもん)といって、水位が異なる隅田川と旧中川との間を通航可能にするもの。仕組みは太平洋とカリブ海を結ぶあのパナマ運河と同じです。東京の川にこんなものがあったなんて!八代さんも感心しきり。 さあ、水位がぴったり合ったら「後扉」がオープン。いざ、下町へ!
前方に赤い門が… 水位が揃うのを待ちます
下町っ子がお出迎え! 船を降りて、八代さんがまず向かったのはスカイツリーからすぐ近くにある業四(なりよん)市場商栄会。夕方は歩行者天国になり、多くの買い物客で賑わいます。ぶらりと立ち寄った八代さんを元気に迎えてくれたのが、「みちのく惣菜」の阿久津宣子さん。きんぴらごぼうやかぼちゃの煮物など、手づくりのおかずはどれも美味しそう!思わず見とれる八代さんに、下町っ子のマシンガントークと“ご馳走攻撃”が炸裂…。
クリーニング屋さんで スカイツリーとツーショット? スカイツリーが出来てから、観光客にとって嬉しいサービスを始めたお店もあるんです。それが「白井クリーニング店」。 スカイツリーは、近くから撮ろうとするとカメラのフレームになかなか収まりません…あまりにも大きすぎるんです。背を反らしたり、地面に這いつくばったり、撮影に四苦八苦する人たちを見て、店主の白井俊行さんは一計を案じます。店の前に大きな鏡を傾けて設置したんです!これがあればスカイツリーと並んで記念撮影が出来ちゃいます! 店主の粋な計らいに八代さんもさっそくカメラを構えてパチリ!この日たまたま奈良から遊びに来ていた橋本さん一家の記念撮影にも飛び入り参加です。さてさて写真の出来映えは…?
“お菓子の城”下町に現る! 観光客もまばらな路地を歩いていると、忽然とお城が姿を現しました!下町とお城、その奇妙な取り合わせに、吸い寄せられるように近づいていく八代さん。よく見てみれば「水ようかん」などの文字が見えます…実はこちら、「森八本舗」という地元で大人気の和菓子屋さん。日本の伝統建築が大好きだった創業者(先代)が、自ら図面を引き、名古屋城の修復に関わった職人を呼び寄せ、徹底的にこだわり抜いて建てたんだそうです。またの名を「森八城」。 こちらのお店の主力商品は最中なのですが、その中には「大江戸タワー最中」なる気になる一品が…。最中が大好きで子どもの頃に一人で10個も食べたという八代さん、これを見逃すわけがありません。
下町の銘菓「大江戸タワー最中」
職人ファッション! 鳶(とび)装束の専門店 スカイツリーの周りをぶらぶらして、なにやら気になる幟を発見した八代さん。そこには可愛らしいキャラクターと“鳶”の文字が躍っています。店内にはデニムやシャツ、スニーカーがディスプレイされていて、まるでセレクトショップみたい! こちらの「押上鳶忰山(とびかせやま)」、鳶装束を専門に扱っている都内でも数少ない店なんです。危険な現場で体を張って働く鳶職人。身につけるものにはこだわりたいと考える人も多く、そんな気持ちに応えるように、安全性とファッション性を兼ね備えた商品を数多く取り揃えています。スカイツリーの建設時には、お洒落な職人たちのたまり場にもなっていたとか。 八代さんは若い鳶職人の夫婦と出会い、仕事着を見立ててあげることに!いったいどんなコーディネートに仕上がったのでしょうか?
“鳶”と書かれた幟が目印 どんなコーデにしようかな?
THE☆昭和の商店街! ちょっと足を延ばして、墨田区京島へとやってきました。このあたりは戦災を免れたエリアで、昔ながらの細い路地や長屋がたくさん残っているんです。子どもたちも元気いっぱい!高さ10メートルもの滑り台がある公園など、遊び場にも事欠きません。 八代さんのお目当ては、「下町人情キラキラ橘商店街」。魚屋、八百屋、肉屋からおでん屋、もつ焼き屋まで…昭和レトロを感じさせる店がおよそ400メートルにわたって軒を連ねています。全国的に個人商店が苦戦している今の時代にあって、信じられないほどの活気です!
ドラマの撮影地としても有名
編集者から:
お読みになって、目に浮かぶ八代さんの楽しそうな姿。 放送より一足早く、行ってみたくなりませんか・・・ 番組をご覧になると、更に試してみたくなりそうな八代亜紀さんの下町散歩。そして、同じルートを辿っても、ちょっと違うマイ下町を見つけてみて下さい。
次回2273回は女優の西田尚美さんが子供のころに行ったことのある鳥取砂丘、そんな頃の思い出をたどりながら鳥取から三朝(みささ)温泉へ。砂の彫刻で巡る世界の名所、しゃぶしゃぶのルーツ、民藝の世界そしてあの有名な修験道のお寺…思いでの砂丘から思い掛けない体験旅行になりました。鳥取は<砂場カフェ>だけではないですよ〜 どうぞお楽しみに。