番組からのお知らせ
番組データ集
ご意見・ご感想
(c)安野 光雅
 

みどころ

 
         
 

日本海側に寒波が押し寄せ、東京にも雪が積もるなど、本格的な冬の寒さが続いていますね。そんな日は鍋を囲んで熱燗で一杯・・・という楽しみを持つ私たち日本人は、何と幸せな民族なのでしょう。鍋といえば、冬の海の幸。そして今回の丹波義隆さんの旅先は下関。と来れば、もちろん真っ先に思い浮かぶのは、ふぐちり鍋!ところがどっこい、下関の冬の幸はフグだけではなかったのです。という訳で、今回はフグを筆頭にしつつ、それ以外の冬の珍味も巡ってしまう、かなり贅沢な旅です!

 


下関といえば九州から本州への玄関口。関門海峡を挟んで対岸は福岡県・門司港です。

「壇ノ浦の戦」でも有名な関門海峡の潮流は時速20キロ。川よりも激しく、上りと下りの船の速さがまったく違います。

 
         
 

南風泊(はえどまり)市場

さて下関といえば、まずは名物・フグ!全国で唯一のフグ専門卸売市場、南風泊(はえどまり)市場を訪ねます。深夜3時半、「エーカ、エーカ、エーカ!」という野太い掛け声と共に、有名な“袋競り”が始まりました。フグの中でも最高級と言われる「トラフグ」がズラリと床に並び、50人以上の仲買人さんたちが、競り人の右腕を覆う袋の中に次々と手を入れ、何かサインを出しています。
その撮影中、競りの傍らで水揚げされたフグのお腹を触っては手持ちのメモ用紙に数字を書き込み、次々とトロ箱の中に入れている市場の人を発見。いったい何をしているのか?数字は何を意味するのか?好奇心旺盛の丹波さん、早速尋ねてみます。

 


競り人さんの堂々たる威勢の良さと、次々と場を仕切っていく存在感は、“まるで舞台の役者!”と、丹波さん。

一瞬触っただけで、次々と数字を書いていくのです。

数字は0のものもあれば、3や5、6もありました。

 
         
 

春帆楼(しゅんぱんろう)

さて、せっかく競りを見学したのだから、やはり本場のフグを味わいたい!という訳で、“日本のフグ料理発祥の店”といわれる老舗、春帆楼(しゅんぱんろう)を訪ねます。明治21年、ここを訪れた内閣総理大臣・伊藤博文が当時禁止されていたフグを偶然食べ、そのあまりの美味さに禁止令を解いたと言います。朝鮮出兵の際に大陸に渡るため九州へやって来た武士たちが、次々とフグを食べて中毒死していくのを見かねた太閤秀吉が「フグ食禁止令」を出して以来、約300年ぶりのことでした。
さて、フグといえばまずはフグ刺し!老舗だけあって職人技で見事な薄さに切られた天然のトラフグ刺しがズラリと並びます。しかし、なぜフグの刺身は必ず薄く切るのか?井上料理長さんにお話を伺います。
因みに番組ではご紹介出来ませんでしたが、井上さんの考えでは、伊藤博文が初めて食べた時のフグ刺は“薄造り”ではなく、身を厚くぶつ切りにしたものだっただろうといいます。つまり“薄造り”は明治以降に発達した職人技ということですね。

 
昭和天皇も訪れた風格ある老舗。日清戦争の講和会議も、伊藤博文のアレンジによりここで行われたといいます。
絵皿の模様が透けて見えるほど見事な“薄造り”。この盛付けは“菊盛り”と呼ばれます。
下関でしか味わえない、天然トラフグの白子の刺身もいただきました。これは絶品!だそうです。
 
         
 

フグ料理体験・ふく楽舎

“フグといえば高級料理”というイメージがあり、また毒があることもあって、なかなか私たち一般人には扱えない代物という感じがしますね。そんなフグ料理を、自分で作って食べられるという、下関ならではの体験教室が、南風泊(はえどまり)市場のすぐ近くにあります。フグの卸売業者が運営する「ふく楽舎」。
実はフグの毒がある部分というのは内臓なのです。調理師免許を持つ人にその内臓さえ処理してもらえば、私たちでも扱うことが出来るというわけです。
そんな訳で、丹波さんがフグの“薄造り”に挑戦します!果たして老舗・春帆楼で見てきたように美しく出来るでしょうか・・・?

 
内臓を処理されたフグを「身欠き」と呼び、唇、カマ、皮、頭、身の5つの部位に分けられます。

今回は「タタキ刺身」にすることに。身に鉄串を通し、コンロで焼目を付けます。「あのフグを、こんなにしちゃっていいのなかな〜」と丹波さん。

いつになく真剣に刺身を切る丹波さん。どこまで薄く切れるか!?
 
         
 

唐戸市場

さて下関でもう1つ有名なのが、昭和8年に開設された「唐戸市場」。南風泊市場がプロの中卸人向けの市場なら、ここは一般人も買いに来られる“庶民の台所”。特に6年前にリニューアルされてからは様々な催しやイベントも開かれ、休日には県外からの買物客や観光客もたくさん訪れるようになったといいます。
響灘や玄海灘、瀬戸内海からも魚が集まる下関。ここを歩けばいろいろな種類の魚や海産物が見られ、海の幸がいかに豊かか分かります。

 


中卸売場の他に、漁師さんから直接鮮魚を買える「沿岸漁業者直売コーナー」もあります。

クジラの専門店を発見。下関は調査捕鯨の出港地でもあるのです。

値段は5〜8千円位が多く、さすがに高価。2年前から調査捕鯨が認められた「ナガスクジラ」の肉も売っていました。

 
         
 

下関中央魚市場のアンコウ

さて「下関といえばフグ」というイメージがありますが、近年もう1つの名物になりつつあるのが、アンコウ。アンコウといえば関東の冬の鍋物の王者ですね。関西圏では食べられないといわれていましたが、どうも様子が変わってきたようなのです。実は統計によると、下関のアンコウの水揚量は茨城県や福島県を遥かに凌いで日本一。しかしこれまでは殆どが東日本へ出荷され、地元でもあまり知られていなかったのだそうです。ところがここ2〜3年で下関でも人気が出始め、市内でアンコウ料理を出す店が増えているといいます。唐戸地区の料理屋・魚正本陣の辻野さん、仲買人の河上さんと一緒に下関中央魚市場へ。アンコウの買い付けに同行です。
余談ですが、今回スタッフの間で話題になった面白い話を一つ。私たちが料理として食べているアンコウは全部メスなのだそうです。ではオスは?実はオスのアンコウは体長5〜6センチ程しかない小さな魚で、メスに出会うとその腹に張り付いて血管などを同化させ、生殖器以外は全て退化してしまうのだそうです。真っ暗でメスに出会う確率が非常に低い深海での種族維持の知恵らしいのですが、メスに寄生し生殖だけして生きているという、究極のオスの在り方ですね。東日本には「アンコウのオスになりたい」という言い回しがあるとかないとか。

 


木箱に入ったアンコウがズラリと並びます。


見て下さい、箱から飛び出さんばかりの巨大アンコウ!

 
         
 

アンコウの吊し切り

さて市場で仕入れたアンコウを辻野さんのお店「魚正本陣」へ持って帰り、さっそく料理していただきます!この日仕入れたアンコウは、15キロを越えるという超大物。そしてアンコウをさばく時に行われるのが、有名な「吊し切り」です。「丹波さん、ちょっとこれ、引っ掛けてもらっていいですか!?」あまりの重さに、2人がかりで天井の鉤に吊るします。アンコウの皮の表面はタンパク質の粘液があってズルズルするため、まな板の上で切ると滑ってしまうのだそうです。こうして取り出されるのが、「アンコウ七つ道具」。これを材料に、アンコウ料理をたっぷり堪能します。


 


辻野さんの巧みな包丁さばきが早い早い!ものの5分と経たないうちに、巨大アンコウはバラバラに解体されてしまいました。

「アンコウ七つ道具」
(奥から)身・肝・ヒレ・皮・エラ・胃袋・卵巣

冬の味覚といえば、やはりこれ「アンコウ鍋」!
七つ道具がすべて入っています。

 
         
 

蓋井島(ふたおいじま)へ

さて旅はここで、もう一つの下関の珍味を求めて響灘(ひびきなだ)を越え、日本海に浮かぶ小さな島、蓋井島(ふたおいじま)へと向かいます。
吉見漁港から連絡線に乗って40分。「今日は欠航寸前だよ。かなり揺れるよ」と連絡線の船員さんに言われ覚悟はしていたものの、さすがに荒れる冬の日本海、揺れること揺れること! 大波に乗ったあと波の谷間に落ちる時の衝撃はほとんどジェットコースター。わずか14キロの距離ですが、水平線上の島影はいっこうに近付いてこず、丹波さんもスタッフもかなり酔ったのでした。
蓋井島漁港では、お世話になる「漁師民宿おけや」の中村求さんが迎えてくださいました。

 
操縦室の窓から、大波をかぶる甲板。


辿り着いた蓋井島漁港は、集落が1つある静かな港。
 
         
  ウニ漁

さてこの蓋井島は、山口県の中でもウニ漁の本場として知られる島。さっそく元気なお母さんたちに連れられて、ウニ漁に出かけます!・・・といっても、撮影の日は雪のちらつく酷寒の日。こんな日に漁なんて申し訳ないな・・・と思っていると、そんな心配をアッケラカンと吹っ飛ばしてくれるほど、島のお母さんたちは元気でした。
港に着くと、早速準備を始めるお母さんたち。しかしその格好はジャージにウィンドブレーカーにスニーカー、その上から水中メガネ。中にウエットスーツは着ているものの、どう見ても山にキノコ狩りにいくような格好なのです。「これでどうやってウニを獲るのかな・・・?」撮影しながら、丹波さんもスタッフも全員不思議に思っていたら、お母さんたち、なんとそのまま海に入って行ってしまうではありませんか!
「えー!?大丈夫なんですか?泳げるんですか!?」
「泳ぎは関係ないもん。わしら全員泳げん。」「大丈夫、浮くから。全身浮き袋じゃけぇ(笑)」
冬場のウニ漁は女性の仕事と決まっているそうですが、島の女性の強さを感じた瞬間でした。

 
「えー!そのまま入っちゃうの!?」思わずズッコケる丹波さん。島のお母さんのパワーに完敗です!

冬場の素潜り漁は禁止。このように海面に浮いて棹(さお)を使って獲るのは良いそうです。これなら棹の届く深さまでのウニしか獲れないので、資源保護になるわけですね。
極寒の海から上がって来たお母さんたち。袋の中にギッシリ詰まったウニに、丹波さんびっくり!

この時期のウニはムラサキウニ。獲れたウニはすぐに殻を割って身(卵巣・精巣)を取り出します。
思わずつまみ食いする丹波さん、「甘いね〜!!」
獲れたてのウニを生食いなんて、最高のゼイタク。
 
         
  島歩き

蓋井島は戸数35戸、住人120人、周囲10キロの小さな島。病院はなく、お巡りさんもいなくて、お店は雑貨屋さんが一軒。小学校が一つありますが、現在生徒は3人だそうです。そんな小さな島だから、人々はみんな家族のように知り合いで、のんびりとした温かさがあります。そんな島風情を探しに、ちょっと散歩してみます。

  島独特の細い路地を歩きます。
漁師のおじいさんと出会いました。

 
         
  エミュー牧場

ところでこの島の新しい特産物を作ろうと、「おけや」の中村さんが中心となって数年前から飼っているのが、ダチョウに似たオーストラリアの鳥、エミュー。その皮下脂肪から取れる「エミューオイル」は、オーストラリアの原住民アボリジニの秘薬とされ、肌荒れや虫刺され、打撲ややけどなどに良いと言われていて、最近島では漁師さんたちに利用されているそうです。
現在島のエミューは80羽。これを何とか卵を産ませて100羽まで増やしたいと、中村さんたちは奮闘中です。エミューの卵を探しに、エミュー牧場へ連れて行っていただきます。
  エミュー

エミューの卵を発見!鶏の卵よりかなり大きく、なんと緑色です・・・!
 
         
  蓋井島に渡った次の日、日本海は大荒れとなり、連絡線は欠航。私たち撮影隊は本土に帰れなくなりました。止むを得ず一日滞在が延長となったのですが、「漁師民宿おけや」では丹波さんも宿の御主人・中村さんもスタッフも皆でワイワイと食卓を囲み、私たちはなぜか古い知り合いの家に泊めていただいているような安堵感を覚え、増えた島での一日を満喫したのでした。
翌朝、7時半という早朝にも関わらず、おけやの中村さん一家は皆さんで港に見送りに来て下さいました。フグ・アンコウ・ウニと、下関の冬の珍味を満喫した今回の旅でしたが、それ以上に気持ちもお腹一杯になって、旅を終わります。
 
防波堤で手を振る中村さん一家。お世話になりました!

 
         
         




Copyright(c)TVMANUNION,Inc.,YTV
Allrightsreserved.